Exhibition

展覧会概要

2020年に結成されたアート&デザインコレクティブglowでは、プロジェクトごとにメンバーの組み合わせを変化させながら活動を行ってきました。近年では研究教育機関に所属するメンバーを中心に、作品の制作手法や鑑賞体験に焦点をあてた研究プロジェクトや、研究成果を広く一般に広めるための教育プロジェクトなどへ、その活動の範囲を拡張してきています。

メンバー自身の表現活動と同時並行的に行われているこれらのプロジェクトは、「制作者」自身による「表現研究」とも位置づけられ、当然その過程で得られる体験や成果は、個々の表現活動に強い影響を与えるものとなっています。メンバーの協働によって行われる研究・教育プロジェクトが、メンバーの表現を進化させ、新たな研究対象を生み出していく。私たちは、ここに見られるある種の循環を、新たな表現活動のフロー(流れ)と捉え、その過程で行われる「制作者」自身による「表現研究」を、新たな表現を探求していく上で重要なものと位置づけています。

本展では、私たちglowの進化の過程(progress)として、メディアテクノロジーを介在させた表現研究を中心に、その成果とそこから生まれた新たな表現の可能性を提示することを試みます。表現研究を「体験可能」な状態で提示し、その体験を起点にした議論の場とすることを通して、新たな協働の可能性を発見する場とすることを目指しています。

会期

2023年11月17日[金]−29日[水]
12:00−20:00

※11月23日[木・祝]は休廊
※11月22日[水]は17:00まで
※11月17日[金]は15:00から
※11月29日[水]は16:00まで

会場

新宿眼科画廊 スペース地下
(東京都新宿区新宿5-18-11)

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Works

Multichannel VR

「The Dive - 設計とアーカイブ」展(2021年10月16日 − 20日)でも試みた複数映像を用いた空間的映像展示(=映像インスタレーション)のVRを用いた設計と、実空間への展開について扱った研究に関する展示。愛知県立芸術大学メディア映像専攻の授業で制作された課題作品とともに、glowメンバーによる習作についても展示を行う。

研究代表:赤羽 亨(IAMAS)
技術開発:伏田昌弘(東京コンピュータサービス株式会社)
協力:池田泰教(愛知県立芸術大学メディア映像専攻)

Onsei AR

任意の画像をマーカーにし、空間内に配置された音声情報を聴くことができる「Onsei AR」に関する展示。展示パネルやポスター自体をマーカーとし、スマートフォンのカメラで検知させることで、それに対応した音声や映像を再生する。今回は本展を題材にした、様々な機能試作の展示を行う。美術館・博物館などへの展開のみならず、新たな表現メディアとしての展開も視野に入れている。

共同研究:赤羽 亨(IAMAS)、ウエヤマトモコ+池田泰教(asyl)、京野朗子(FLAME)
技術開発:伏田昌弘(東京コンピュータサービス株式会社)

RSP (Soulless Project) + N.E.W.S

インターネット上に蓄積された大量の情報を学習した人工知能によって規定され得る価値感を、ポートレイト、映像という2つの形態を通して顕在化させた作品および習作の展示。 - RSP (Soulless Project) 人の顔の空間的構造を学習した画像生成AI (StyleGAN) によって架空のポートレート画像を出力し、その写真としての美しさを審美性推定AIによって数値化する。これら出力された画像や審美値を指標とし、フォトグラファーが「実在する人間を用いて」ポートレート作品として再構成し、写真作品を「出力」する。本作品は人間と機械との共創であり、競争でもある。 - N.E.W.S 紙メディアとして日々流布されている新聞のテキストを入力プロンプトとし、text-to-image AIにより画像化することで社会的事象をイメージ化する。さらに、それらを時系列的に再配置することで、紙面上で平面的に展開されている情報を映像化する。これによりLLM (Large Language Models) が持つ無意識なバイアスの可視化を試みる。

制作:横山 徹(figlab)、飛谷謙介(長崎県立大学)、赤羽 亨(IAMAS)
協力:本多 鈴(長崎県立大学)

VRアーカイブビューワー プロトタイプ I

──鑑賞者主観情報と時空間データによるVRアーカイブシステムの開発──

時間軸を持つ芸術作品とそれを体験する鑑賞者の視聴覚情報をVR空間上に再現するアーカイブ手法の開発を目指して、2023年からスタートしたプロジェクト。プロトタイプIでは作曲家 福島論のサウンドインスタレーション作品「Patrinia yellow」(2022)、「春、十五葉」(2022)を題材に作品空間と鑑賞者の聴覚体験を記録することを目指している。

研究代表者:池田泰教(愛知県立芸術大学)
研究分担者:赤羽 亨(IAMAS)、飛谷謙介(長崎県立大学)、横山 徹(figlab)
協力者:山田興生、根木隆之(静岡文化芸術大学)、福島 諭、高橋 悠(株式会社タンジェントデザイン)
*本研究はJSPS科研費JP23K00238、および公益財団法人日東学術振興財団の助成を受けたものです。

Workshop

glowメンバーが行ったワークショップや授業に関するアーカイブ展示。

企画・実施:池田泰教(愛知県立芸術大学)、赤羽 亨(IAMAS)、 冨田太基(LAP)、金原佑樹(LAP)、大山千尋(LAP)、スコット・アレン(京都精華大学)、八嶋有司(名古屋文理大学)
ビデオ制作:丹羽彩乃

Credit

企画:glow
プロデュース:京野朗子
デザイン:柳川智之
動画制作:岡本彰生
会場設計:ArtDKT
総合ディレクション:赤羽 亨

協力:
情報科学芸術大学院大学 [IAMAS]
愛知県立芸術大学
長崎県立大学
東京コンピュータサービス株式会社
株式会社asyl
株式会社FLAME