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メンバー紹介レポート 10 ー 池田泰教

アート&デザインコレクティブglowには、多様なバックグラウンドを持ったメンバーが所属しています。

このレポートシリーズでは、各回ごとにメンバー1人に焦点をあて、これまでの活動やバックグラウンド、今に至るまでの経歴、今後の制作などについて紹介します。このシリーズを通して、個々のメンバーが抱くビジョンを捉えた上で、それらを重ね合わせたglowのビジョンを浮かび上がらせることを目的としています。

第10回は、映像作家池田泰教さんを紹介します。

これまでの経歴について教えてください。

これまで映像作家という肩書で、上映形態の作品を映画祭や美術展で発表してきました。
1990年代から2000年代初頭、学生時代に観た同時代の劇映画やドキュメンタリー映画、実験映画、ビデオアート作品などの影響が大きいと思います。

それらが作品制作の入口をつくってくれたおかげで、年代をさかのぼって、より多くを学べたと思います。
そのころはアレクサンドル・ソクーロフやアッバス・キアロスタミ、ツァイミンリャン、ペドロ・コスタ、リティ・パニュ、アピチャッポン・ウィーラセタクンといった作家たちが日本で紹介されていて、大木裕之さんの一連の作品群や前田真二郎さんの作品にも出会った時期で、僕自身、大きな影響を受けたと思います。

現在の活動や仕事について教えてください。

個人ではドキュメンタリーとフィクションを行き来するような映像作品をつくっています。また、2年ほど前から静岡文化芸術大学で教えています。

2021年は展覧会といくつかの上映会を企画しました。

『Moving Text – 映画資料を読む-』という映画資料の展覧会で、おもに脚本や戦前の上映館チラシ、編集技師の浦岡敬一氏の編集台本など、テキストのみの展示物で構成した展覧会です。
展示什器にはLAPのOne-size-fits-oneを100個ほどつくって空間構成をしました。

そのほかにも、前述のリティ・パニュの作品と自作の2本立ての上映会や、山形国際ドキュメンタリー映画際の歩みを紹介する上映会を静岡県浜松市で開催しました。こちらはデザイナーとして伊藤晶子さんに参加してもらっています。

作品制作以外のアウトプットというのはこれまであまりしてこなかったのですが、まず自分が住んでる場所でスタートしてみたという感じです。
まだ試している感覚が強いんですが、やってみるとそれなりに手応えがあります。これまで会う機会のなかった人に会えることもあって、楽しんでやっています。

作品では前田真二郎さんが呼び掛けたオムニバスムービープロジェクト『between yesterday & tomorrow 2021』に参加しました。このシリーズでは4作目となる短編を発表したばかりです。

また、音響作家のウエヤマトモコさんの展覧会の記録映像をつくりました。こちらは初めてのバイノーラル視聴の表現になっています。

池田さんは、ArtDKTにも参加していらっしゃいますが、これまで関わったプロジェクトについて教えてください

僕は2011年からArtDKTのメンバーとして活動してきました。気づけば、もう10年も経つんですね(笑)。

ArtDKTはアーカイブに関する研究というのを一つの柱としていて、これまでいくつかのプロジェクトを実践してきました。
多視点映像を使ったアーカイブ手法の開発や、時間軸を持った3Dスキャニングデータを使用した記録と閲覧方法の開発など。これらは現在も継続して研究しています。
また、2020年には八嶋有司さんの作品を題材に、設計とアーカイブのそれぞれを一つの創造過程として提示する展覧会を行いました。
この展覧会は、前述の研究をしていく中で、僕らなりの「創造するためのモデル」のようなものがぼんやりと浮かんできて、それを試した形です。

ArtDKTでは決まった役割があるわけではないので、プロジェクトごとに全員ができることを“すべて”やるスタイルです。
役割が変わるというより、メンバー全員がほぼすべてのプロセスに手と口を出している(笑)。

これは毎回なのですが、プロジェクトの途中では大なり小なり、「まさか自分がそれをやるとは!!」ということがおきます。
どんな難問でも臆せずに、自分のやり方でやり始めることができる人がArtDKTに入るのか。 それとも、入った後にそうなったのか。今となってはわかりません(笑)。
とは言え、たとえ初めてのことでも、各自普段どおりのやり方で発想していると思います。

僕なら映画史を参照してみたり、撮影の思想や映像の方法で、目の前の物事を理解していく。他のメンバーもそれぞれのバックグラウンドから知識や技術を持ち込むでしょう。

たとえば、映像的な発想をするからといって最終的なアウトプットまで映像になるということは、まれです。
アウトプットには別なメディアや表現だったりすることが多く、「バックグラウンド=アウトプットの形態」とはなりません。当たり前のことでもありますが、そんなArtDKTの姿勢がとても気に入っています。

今後、取り組んでいきたいことはありますか?

友人と話し合っているのは、経済的な収入を得るための場所とは別の場所を“堂々”とつくることです(笑)。
それがどんな形になるのかはまだ未定ですが、何かしらやろうと動いています。ホームグラウンドをずっと持ってこなかったので、そんな場所にできればいいなと思っています。
もちろん、個人の作家活動の方は今後も続けていきます。

glowの魅力やおもしろさはどんなところにあると思いますか?

glowメンバーのバックグラウンドは本当に幅広く、同時にほとんどの人が既存の分野に留まっていないように見えます。

建築家やデザイナー、ハードウェア/ソフトウェアの開発、写真、映像、美術家、機械学習系の研究者もいて、それらがお互いに普通に対等に話せる関係性は貴重だと思います。

ユニットで活動する時は僕自身が映像というアウトプットに固執しないのと同様に、専門性を持ちながら発想の次元をズラすことのできる柔軟な人たちが多いです。
これは、メンバーを勧誘している赤羽さんの仕掛けなのかもしれないけれど、何か試してみたくなるのは確かだと思います。その期待感そのものがglowの魅力なのかもしれません。

 

編集 森岡まこぱ

 

Photo credit
01 BETWEEN YESTERDAY & TOMORROW #04 Ghosts(2021/SOLCHORD)
02 FieldProbing#01(2018/Yasunori IKEDA+Kyo AKABANE)
03 時空間3Dスキャニングシステムによる三輪眞弘《みんなが好きな給食のおまんじゅう》ひとりの傍観者と6人の当番のために-の記録”(2017/ArtDKT)
04 BETWEEN YESTERDAY & TOMORROW #03 About the Things May Come to Pass(2016/SOLCHORD)
05 3Portraits and JUNE NIGHT (2009-2014) 

関連人物

八嶋有司

飛谷謙介

池田泰教

スコット・アレン

赤羽 亨

京野朗子

伊藤晶子

関連レポート

映画資料展「Moving Text -映画資料を読む-」

関連ページ

ArtDKT
https://artdkt.asia/

映画資料展「Moving Text -映画資料を読む-」/静岡文化芸術大学
https://www.suac.ac.jp/event/02369/

One Size Fits One/LAP
https://laplab.jp/projects/osfo/

between yesterday & tomorrow 2021
https://solchord.jp/byt/21/

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